旅に出よう(海外:その3)「フィリピンの税関にて」 [トピックス]

■ とても小心者の私には… ■

 「はじめに」で書いた、セブ島へのダイビングツアーのメンバーの一人が、「いきなりマニラで宿を探して泊まるのはなかなか大変だろうから、知人を紹介してあげる」というのである。まあ、「不安は全くない」といったらウソになるので、お言葉に甘えることにした。

 その人は、マニラで、日本人の子供を相手にして進学塾を開いていて、現地の女性と結婚しているとのことであった。それで、「ちょっとその人に持っていってほしいものがある」と言うのである。まあ、よほど大きなものや「ヤバイもの」でなけらば特に問題もないと思ったので、「何でしょうか?」と聞くと、プリンター用のリボンなどのオフィス用品とのことだったので、快諾した次第である。

 出発の前日に、「じゃあ、これ頼む!」と渡されたカバンの中には、リボンなどのオフィス用品がけっこうたくさん入っていて、それだけで一つの手荷物となった。本人曰く、「まあ、全部、現地で買えないこともないのだけれど、日本から持って行った方がかなり安いんだ」とのこと。

 私はちょっと不安になり、「こんなにたくさん、税関で何にも言われないですか?」と聞くと、「まあ、大丈夫だと思うよ。もし、何か言われたらさ、いくらか袖の下を通せばよいから…」との返事であった。「袖の下を通す」と聞いて、とても小心者の私にはその様なことができるようには思えなかった。

 万が一、そのようなことができたとして、税関の職員が「悪いな、OKだ!」と言ってくれればよいが、とても正義感溢れる人だったらどうだろうか?「うっ、何だこれは?オレを何だと思っているんだ!」というような展開になれば、東南アジアへの旅は、1日目にして終焉を迎える可能性も十分にあるわけである。「最悪、ブタ箱行きなんてことにならないだろうな」などと、どうも悪い方へ悪い方へと思いを巡らしてしまうのだが、今さら断るわけにもいかないので、「じゃあ、渡しますから」と引き受けた次第。 

 当日、税関に差し掛かるところでは、「大丈夫かな?」との不安から心拍数が速くなるのが分かった。だいたい、私の風貌は、とても平均的な日本人のそれではなく、「こいつちょっと怪しいな」と思われても仕方がないものだった。悪い言い方をすると、オウム的、良い言い方をすると、ジーザスクライスト的というか…。

 まあ、「大丈夫かな?」などと不安になっていると、どうしても表情に出てしまったりするものである。「ベテランの職員であれば、ちょっとしたことも見逃さないに違いない」と思い、努めて平静を装って職員の前の台の上に荷物を置いた。職員は私の顔をチラチラと見ながら

 職員:「仕事ですか?」

  私:「いえ、旅行です」

 私の私物の方のカバンを開けながら

 職員:「何か変なものは持ってないですよね?!」

  私:「全然、大丈夫です。」

 職員:「じゃあ、いいですよ」

  私:「ああ、どうも」

 と、結果的には私の私物のバッグは少し開けられて調べられたが、頼まれた荷物は開けられずに税関を通過することができた。ポケットに10ドル紙幣を3枚ほど用意していたが、使わずに済んだ。助かった!


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